Sea Opening
映画ってDVD買って、何度も何度も繰り返し観たくなるものと、
映画館で観たりきり、もう二度と見たくないものに分かれると思う。
今回は後者だった。
私はこの映画のDVDは買わないし、多分もう二度と観ないと思う。
けれど、素晴らしい作品だった。
生きている中でこの映画に出会えて良かったと思えるほどに。
胸が引き裂かれて、引き裂かれて、
主人公と同じように心が凍って静まり返って、心臓は聞こえるほど脈をうって、
生暖かい空気、冷たい海の波の音。
けれども、美しかった。
これが平和。これが幸せ。
見えないものを見ていた。
それに心動かされて、涙した。
これをもう一度観る強さは私にはない。
役者って何だろうね。
滑稽なのだろうか。
でもその先に物語はあった。
物語の中で悲しいことはいつも自分が主役だというように満を期して衝撃的に出てくる。
けれど実際悲しいことなんていうのは、日常に静かに近づいてきて、ぬるりと入りこんでくるものだ。
私はそれを知っている。
そして、今日またそれを思い出した。
目を背けて頭の中で自分の好きなように、都合の良いように現実を書き換える。
私は知っている。
実際どうなのだったかも忘れてしまって、頭の中で繰り返すたび、何が現実で何が想像だったか分からなくなる。
けれど、この主人公はきっとそうはならないのだろう。
物語を語れ。
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